あらすじと登場人物

映画 くじらびと(洋題:The Eyes of Whale)あらすじ

インドネシア、ラマレラ村、銛1本で巨大なマッコウクジラと闘う男たち。
人間と鯨の壮絶な戦いを描いた石川梵の写真集「海人」(新潮社)は1997年に出版され、世界的ヒットなった。20年の時を超え、映画監督となった石川本人がその映画化に挑戦。3年の年月をかけて完成したドキュメンタリー大作。
船上、空、水中からの決死の撮影が生み出した鯨漁の圧倒的映像は世界を驚かすだろう。

生存捕鯨

生存捕鯨の村ラマレラは土地が痩せ、農業が成立しない。ガスも水道もない貧しい村だが、唯一の頼りは鯨漁。鯨一頭獲れれば村が2ヶ月は生きていける。
くじらびとは村の誇りだが、中でもラマファと呼ばれる銛打ちは英雄だ。しかし、2018年に悲劇が起きた。ラマファのベンジャミンが銛打ち漁の最中に事故で死亡してしまう。父イグナシウスは悲嘆にくれ、ショックを受けたラマファの兄デモは出漁することすらできなくなってしまう。

亡くなったラマファの兄 デモ

ラマレラでは海の事故は家族の不和が原因だとされる。舟づくりの名匠イグナシウスは家族の結束を強めるため、伝統の鯨舟を新たに造ることを決心した。
鯨舟は、全長12メートル、すべて手作りの木製で、釘を一本も使わず合せ木だけで作られる無形文化財にもなっている伝統の舟だ。
「鯨舟は生きている。だから釘は刺せない。設計図もスケールも使わない。魂と会話しながら造るのだ」と語る名匠イグナシウス。

映画では3ヶ月に渡る魂の舟づくりを徹底取材。完成までのさまざまな儀式やエピソードを通じて鯨漁にかけるラマレラの民の思いを浮き彫りにする。
事故から一年、そしてイグナシウス家の鯨舟が一年ぶりに出漁。舳先にはラマファのデモ、そして元ラマファの父イグナシウスの姿があった。

そしてついに運命の時が訪れる。

本作では、美しい珊瑚の海と大自然とともにマレラの民の姿を、輝く瞳をしたエーメン少年の暮らしを通し生き生きと描くbr> そしてラマファの葛藤と壮絶な鯨漁を、最新鋭の機材を駆使し、文字通り命がけの撮影を重ねながら、ヒューマンドキュメンタリーとして描いている。

ドキュメンタリー映画「くじらびと」(カラー113分)
原作「鯨人」(集英社)石川梵著
制作 Bonfilm
エクゼクティブプロデューサー 広井王子
プロデューサー、監督 石川梵
音楽 吉田大致 はなおと
エンドロール音楽 森麻季
ノンナレーション

2020年3月完成予定。

登場人物

この映画は実は群像劇であり、名匠イグナシウス、マイクタイソンを思わせる逞しいデモだけではなく、さまざまな魅力的なくじらびとが彩る。

くじらびとを夢見る少年エーメン

群像劇の主人公のひとりはくじらびとを夢見るエーメン少年。彼の輝くような魅力は、くじらびとの村をぐっと身近な存在にすることだろう。

エーメンの妹のイナ

天真爛漫でその可愛さから予告編ですでに多くのファンを獲得。エーメン とイナの兄妹コンビは石川の前作、「世界でいちばん美しい村」のアシュバドルとプナムを彷彿させる。

ピスドニ

エーメンのお父さん。バリ島に出稼ぎに行き、そこで現在の妻アガタと知り合った。しかし、収入はあってもお金に追われる生活を嫌い、ラマレラへ戻ってきた。「何にもないけれど、すべてがある」ラマレラの生活を愛す。ラマファに成りたいというエーメン には進学を勧めている。

アガタ

ピスドニの妻。良妻賢母を絵に描いたような女性。暇があると機織りをし、イカット作りの内職をしている。夫と一緒に貧しくとも自然豊かなラマレラへ戻ってきた。出身はラマレラではなく、近くのボトという村で、特殊なラマレラの生活に慣れるのに時間がかかったそうだ。

No1ラマファ フレドス

実は監督の石川とは28年越しの付き合い。ボクサーのような肉体はそのままに信仰深く魅力に溢れる大人に成長していた。敬虔なキリスト教徒でもある。今回の映画の最も重要な主人公のひとり。きっと多くの人々が彼の生き方に感動し、魅了されるでしょう。ちなみに監督の石川は、風貌からラマレラのマックイーンと呼んでいる。

舟づくりの名人 イグナシウス

舟づくりの名人、イグナシウス。息子ベンジャミンを銛突き漁の最中に失う。残された息子と舟づくりを通してショックから立ち直ろうとしている姿を取材しました。くじら舟は生きている、先祖の魂が宿っているとラマレラの村人は考えています。そのため鉄の釘を一本も使わず、竜骨と合わせ板だけで造ります。設計図も使いません。正に匠の技だ。

ラマファ デモ

弟を銛打ち漁で亡くし、傷心していた。しかしラマファとして復活し、イグナシウスの後を継げるよう、アタモラ(船大工)としても修行を重ねている。マイクタイソンのような風貌に似合わず、子煩悩な優しい男でもある。

伝説のラマファ ハリ

伝説のラマファ、これまで60頭以上の鯨を獲り、一撃で鯨を仕留めたこともある。70歳を過ぎても筋骨隆々としており、現役のくじらびとだった。映画では90年代に石川が撮影した貴重な映像を公開している。